大手海賊版サイト「漫画村」(閉鎖)が社会問題化してから、海賊版サイトがどのように収益を生み出しているかという点についてもフォーカスされるようになりました。漫画村に限らず、海賊版サイトの収益化方法として最も使われているのは広告です。

一方で、海賊版の成年向けの同人誌やコミックを掲載する悪名高い大手サイト「エックスブックス(元ドロップブックス)」についても私は継続して調査を行っており、彼らがファイル共有プラットフォームを装って自分らでファイルをアップロードしていたことも明らかにしました。

難攻不落の巨大違法サイト「ドロップブックス」に攻め入る
https://blog.cheena.net/387

SimilarWebの統計では日本における訪問者数のランキングで43位にランクインするほど巨大なサイトのエックスブックスの収益化方法も広告であり、その広告配信の傾向についても私は注目しています。今回の調べでは、広告主として新たに海外に拠点を置く組織の運営する有料の海賊版サイトが、これまであった広告代理店経由のものの代わりとして掲載されていることがわかりました。このような動きが海賊版サイトの経済活動にどのような影響を及ぼすかについて解説していきたいと思います。

エックスブックスの広告配信について説明する前に、まずサイト自体の移り変わりについて説明していきたいと思います。上記の記事で示したように、エックスブックスの始まりはドロップブックス(dropbooks[.]biz -> dropbooks[.]tv)というサイトで、次にダウンロードブックス(dlbooks[.]to)に名前を変え、現在はエックスブックス(xbooks[.]to)に変えています。

このサイトを運営する企業(ペーパーカンパニー)は「cyberleaps, inc.」(2013〜)→「LE CIEL BLUE」(2015〜)→「RVH LTD」(2016〜)→「NOAH INTER NATIONAL LTD」(2016〜)と何度も変わっています。この変更が、単純に社名は変えて同じメンバーが運営を続けているのか、あるいはサイトを別の会社に売却したのかなど内部の事情については分かりません。

名前を挙げた企業のうちのいくつかは「フリーブックス」の一件にも関与が疑われています。詳しくは昨年に書いた記事をご覧ください。

「フリーブックス」についてもう少し踏み込んで書く
https://blog.cheena.net/117

エックスブックスの広告掲載の状況は、国内の某広告代理店を経由して(他と比べると)質は標準的な広告を配信していました。

hxxp://dropbooks.tv/ のHTTPリクエスト一覧(2017年5月):
https://urlscan.io/result/6096f0a5-be33-46a6-b087-c141df20adb6/#transactions

hxxp://dlbooks.to/ のHTTPリクエスト一覧(2017年10月):
https://urlscan.io/result/cb3620c0-2ce8-438b-97f0-fb87e2387a79/#transactions

自分で確認したい方は以下のリンクも参照してください。
https://urlscan.io/search/#page.domain:%22dropbooks.tv%22
https://urlscan.io/search/#page.domain%3A%22dlbooks.to%22

ところが漫画村の一件があってからか、国内の広告代理店を経由した広告は掲載されなくなっていき、その代わりとして海外の広告配信業者を利用するようになりました。具体的にはExoClickなどがあります。

hxxp://dlbooks.to/(2018年5月)
https://urlscan.io/result/f9f90d09-4ae5-4a19-8e71-7f4421a31e38/#transactions

サイト名がダウンロードブックス、エックスブックスに変わってもしばらくその流れは続いていましたが、今月ごろからさらに広告の種類がJavHDと有料の海賊版サイト群のみに変わりました。

トップページ(hxxp://xbooks.to/)
https://urlscan.io/result/765e61ca-dd25-4e5b-9869-a4621003bafb/#transactions

個別投稿ページ(hxxp://xbooks.to/detail/g3yCuQwMt3)
https://urlscan.io/result/a3a45127-a026-42ae-9126-b1d392c9177c/#transactions

JavHDは有料のアダルト動画サイトです。会社の所在地はオフショアのペーパーカンパニーの名義になっていますが、コンテンツはおそらく正規にライセンスされたものであり海賊版ではありませんので今回は省略します。

以下は今月に撮影したエックスブックスに掲載されている広告のスクリーンショットです。すべてがアダルトコンテンツのため修正しており分かりにくいですが、両端と上部の広告がJavHD、真ん中の「ユーザーから人気のあるコンテンツ」として掲載されているものが今回取り上げる有料の海賊版サイトです。

エックスブックスの広告
エックスブックスの広告

掲載されているサイトは『ZIPANG』、『いちごだいふく』、『REALDEVA』、『アニメランキング』など4つあり、これらのサイトの運営はアメリカに拠点を置く「ACEグループ」という組織が行っているとされています。

サイトはどれも有料会員限定でコンテンツを公開しており、そのどれもが基本的に海賊版やネット上に流出したもの、盗撮など非合法な手段で入手されたものです。つまりはそれらで収益を上げているACEグループは犯罪組織というわけです。

エックスブックスとACEグループの関係については、提携関係にあるなどではなく、現在は単にアフィリエイトプログラムの参加者と管理側にすぎないと思われますが(ACEのサイト上で参加することができる)、ACE側がパブリッシャーに問題があることを認識したところで何らかの行動に出ることはないでしょう。

これらのことから、海賊版サイトの収益化方法としての広告にも掲載内容に移り変わりがあることがわかります。これまでは大手広告配信業者のサポートのもと(質は悪いものの)広告が掲載されていましたが、漫画村の問題が表沙汰になるにつれてか海外の広告配信業者を使うようになり、それも何らかの理由で掲載をやめ、そして現在は有料海賊版サイトの広告を掲載しています。

海賊版サイトの資金源として広告があり、そこを止めることでサイトの運営を困難にさせるのが政府の有識者会議などでも有効策の一つとして挙げられています。それは確かに効果的ではありますが、今回のように反社会的組織の運営するサイトが広告主になる、あるいは彼ら自身が運営側に回った場合はより対策が難しくなります。「漫画村」の騒動以降、大規模なサイトは出現していませんが、国外を拠点とする組織に対してもどう対処するのか課題は残ります。

ACEグループについては、日本在住の関係者に対してはたびたび摘発が行われており、それは本当に素晴らしいことだと思います。しかしながら、日本にいるメンバーが逮捕されても運営主体が国外に置かれているためサイト自体は現在も稼働している状況となっています。

(※「盗撮見聞録」は摘発を受け閉鎖?)

ちなみに、ACEグループが運営する5サイトのアフィリエイトプログラムへの参加者宛に、2015年10月に福岡県警より警告文が送付されているようです。

A・C・E(Affiriate Creative Engine )グループが運営する『ZIPANG』、『盗撮見聞録』、『いちごだいふく』、『REALDEVA』、『アニメランキング』のアフィリエイターに警告する。

福岡県警察は、A・C・Eグループをわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪で一斉摘発し、アフィリエイターに対する捜査を開始している。

この警告書を受け取ったアフィリエイター諸君は、直ちに、同グループに関する一切のアフィリエイトを停止させ、関連記事を削除することを望む。

この警告に応じない場合は、検挙も辞さない所存である。

賢明な選択を期待する。

平成28年10月20日

福岡県警察本部


ACE運営者逮捕 福岡県警からの警告文も!Zipang、いちごだいふく、REAL DIVA、盗撮見聞録、ANIME RANKINGは完全アウト!
https://www.adult-asp.net/event/category/column/ace-arrested.html

参考資料

盗撮サイトZIPANG摘発!サイトに2000本超の動画!福岡県警17人逮捕
https://archive.is/29cRi

ブログにわいせつ画像 ブロガー13人逮捕(2015/11/26・日テレNEWS24)
https://archive.is/jjq78

海外サーバー利用のアダルト広告、初の一斉摘発 13人を逮捕(2015/11/26・共同通信)
https://www.sanspo.com/geino/news/20151126/tro15112618440015-n1.html

アダルト広告宣伝サイト運営の男13人逮捕 JC3開発の新ソフト使い全国一斉摘発(2015/11/26・クリスチャントゥデイ)
https://www.christiantoday.co.jp/articles/17850/20151126/porn-advertising-sites-jc3-new-software.htm

違法アダルト広告摘発、海外サーバー利用 全国で13人逮捕(2015/11/27・日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H9C_W5A121C1CC1000/

<盗撮サイト>2年半で視聴者から10億円 摘発の運営会社(2016/10/19・毎日新聞)
https://archive.is/Ffmsl

芸能人も被害? 「盗撮サイト」の実態、暴力団が「シノギ」に利用か(2016/10/28・夕刊フジ)
https://www.sankei.com/affairs/news/161028/afr1610280023-n1.html

2018は特にありません。


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5件のコメント

  1. 本筋ではないかもしれませんが・・・
    2018年12月30日、TPP(11)の発効により、日本国内では
    著作権侵害が一部非親告罪化されました。
    この著作権法の改正は、海賊版サイトへどういった影響があると思いますか?

  2. 今回の記事は大した面白くないな
    だからなに?って感じ

  3. 警察の声明がテロリストそのものやな
    国営暴力団の面目躍如といったところか

  4. 漫画村を潰されてイライラしてるユーザーがチラホラいますね。
    ここで八つ当たりしてもしょうがないでしょ。

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